0001抗精神病薬






【【目次】】
【01-01抗精神病薬AntipsychoticsWikkipedia
【01-02向精神薬Psychoactive drug, Psychotropic
【01-06SNRIセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(-英語: Serotonin & Norepinephrine Reuptake Inhibitors; [)】
【01-03クロルプロマジン】
【01-04興奮性シナプス英:excitatory synapse】出典:脳科学辞典
【01-05抑制性シナプス英:inhibitory synapse】出典:脳科学辞典
【02-01べゲタミン-B配合錠】】 :(Vegetamin)
【02-02セロクエル】 :Quetiapine)
【03-01デュロキセチン塩酸塩の効く仕組み】
【04-02デパゲン】【【デパゲンR錠200㎎】】
【04-03デパス】:エチゾラム(英語: Etizolam)
【【本文】
【01-01抗精神病薬AntipsychoticsWikkipedia
 広義の向精神薬の一種で、主に統合失調症や躁状態の治療に承認されている精神科の薬である。過去には、神経遮断薬(Neuroleptics)[3]、あるいはメジャートランキライザー(Major tranquilizers)とも呼ばれ、1950年代には単にトランキライザーと呼ばれた。薬事法における劇薬に指定されるものが多い。抗精神病薬は、それ以外にも幅広い精神障害に使用される。
 抗精神病薬は大きく2分類することができ、古い定型抗精神病薬と、新世代型の非定型抗精神病薬がある。非定型抗精神病薬は、双極性障害のうつ状態やうつ病にも適応がある薬がある。非定型抗精神病薬は、従来の定型抗精神病薬と比較してドーパミンD2受容体拮抗作用に加えてセロトニン5HT2A受容体拮抗作用を有したり、「緩い」ドーパミンD2受容体拮抗作用を有するなどの特徴をもった薬剤である。
 定型抗精神病薬は、錐体外路症状、口が渇く、便秘といった副作用が少なく、統合失調症の陰性症状にも効果が認められる場合があるとされる。しかし#定型対非定型節に見られるように、大規模な試験による分析によれば、非定型抗精神病薬が定型抗精神病薬よりも優れているという根拠は乏しい。
 厚生労働省自殺・うつ病等対策プロジェクトチームが「統合失調症に対する抗精神病薬多剤処方の是正に関するガイドライン」の策定を計画しており[7]、2013年10月にSCAP法という減薬ガイドラインが公開された[8]。抗精神病薬の大量処方からの減量は、過感受性精神病という離脱症状による精神症状の悪化を引き起こす可能性があり注意が必要である[9]。
 抗精神病薬の使用は脳の容積を減少させるかについてはさらなる研究を要する[10]。抗精神病薬の使用は若年認知症発症の危険因子である[11)。
医療用途
統合失調症に用いるのが典型的な用途である[1]。抗精神病薬は、ドーパミン拮抗薬(ドーパミン・アンタゴニスト)で、主な作用は脳内の神経伝達物質であるドーパミンの遮断である。主に、中脳辺縁系のドーパミン作動性ニューロンのドーパミンD2受容体を遮断する。そのことによって、妄想や幻覚といった精神症状を軽減させる。PET(ポジトロン断層法)での研究から、高プロラクチン血症や錐体外路などの副作用が生じるよりも少ない量で有効な反応がみられることが明らかになっている[12]。
単に適応が認められていないばかりでなく、小児や高齢者では死亡リスクを高めることが実証されているために、適応外使用の違法なマーケティングに対し、非定型抗精神病薬のエビリファイ(アリピプラゾール)、ジプレキサ(オランザピン)、セロクエル(クエチアピン)、リスパダール(リスペリドン)と罰金の史上最高額を塗り替えている[13]。
いずれにせよ、各々の薬剤の特徴を考え、標的症状の性質と照らし合わせながらエビデンスに基づいた薬剤使用が望まれる。また、いたずらな多剤併用は避け、可能な限り単剤投与を心がけるべきであり、WHOガイドラインでも「一度に1種類の抗精神病薬を処方する」という立場である[1]。
【01-02向精神薬Psychoactive drug, Psychotropic
とは、中枢神経系に作用し、生物の精神活動に何らかの影響を与える薬物の総称である。主として精神医学や精神薬理学の分野で、脳に対する作用の研究が行われている薬物であり、また精神科で用いられる精神科の薬[2]、また薬物乱用と使用による害に懸念のあるタバコやアルコール、また法律上の定義である麻薬のような娯楽的な薬物(英語版)が含まれる[3]。
個々では異なる特徴を有する。典型的な精神刺激薬は、興奮を生じさせるが、MDMAでは共感性を呼び起こす作用が強い。オピオイドやアルコールのように致死量と作用量が狭く過剰摂取によって死亡しやすい薬物や、大麻や幻覚剤のように広いためそうしたことが起こりにくいものがある。ニコチンやアルコールは共に依存性が強いとみなされているが、アルコールの離脱症状による振戦せん妄は致命的となりえるが、ニコチンではそうしたことは起こらない。アルコールの作用には暴力を起こす傾向があり、大麻のように攻撃的な感情を減少させる薬物がある。


狭義の「日本の法律上の向精神薬」は、麻薬及び向精神薬取締法で個別に指定された薬物を指す。薬物乱用の懸念があるメチルフェニデートのようなや精神刺激薬、ベンゾジアゼピン系やバルビツール酸系の抗不安薬・睡眠薬・麻酔薬・抗てんかん薬の一部が、日本の同法における第一種向精神薬から第三種向精神薬に指定されている。これは国際条約である向精神薬に関する条約の付表IIからIVに相当する。
【01-03クロルプロマジン】
 重要な副作用は、パーキンソン症候群である。初期は手がふるえ、綺麗な文字が筆記できなくなり(くずしたような文字になる)、けいれん(振戦)が生じ、横隔膜のけいれん(しゃっくり)なども生ずることが報告されている。美容上では色素沈着などが生じ、その結果そばかす状の汚点などが生じる。眼科では網膜に色素沈着が生ずることも知られている。おおむね、活力が減退し、「意志」の力が減退する。また、外的なストレスに弱くなり、内部に「ストレス」が蓄積される。[

Cp換算値:抗精神病薬をCpつまりクロルプロマジン(コントミンやウインタミン)の力価に換算したもの。例えば、Cp換算値が1000mgなら1日にコントミン(50mg)を20錠飲んでいるという目安になる。最大時でも、1日800mgくらいまでが常識とされている。

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【01-04興奮性シナプス英:excitatory synapse】出典:脳科学辞典
英:excitatory synapse
興奮性シナプスとは、シナプス伝達によってシナプス後細胞を脱分極させ、活動電位の発火を促進するシナプス結合のことである。興奮性シナプスを形成するシナプス前細胞は、興奮性ニューロンと呼ばれる.
 興奮性シナプスとは、シナプス後細胞の活動電位発生を促進させるシナプスのことである。興奮性のシナプス伝達によってシナプス後細胞が脱分極し、膜電位が閾値を超えると活動電位が発生する。 抑制性シナプスは、逆にシナプス後細胞の発火を抑える作用をする。興奮性シナプスを形成するシナプス前細胞を興奮性ューロン、抑制性シナプスを形成するシナプス前細胞を抑制性ニューロンと呼ぶ。
 シナプスは、ギャップ結合を介して電気シグナルを直接伝える電気シナプスと神経伝達物質を介して伝達を行う化学シナプスに分類される。いずれもシナプス前細胞の興奮をシナプス後細胞へと伝達するが、興奮性シナプスといった場合には興奮性の化学シナプスのことを指すことが多い。
 興奮性の化学シナプスでは、シナプス前終末から放出された神経伝達物質がシナプス後膜上の受容体に結合することでシナプス後細胞が脱分極する。神経細胞から放出され、作用する物質としての神経伝達物質の種類は100種類以上にも及ぶが、哺乳類の中枢神経系ではグルタミン酸が、末梢神経系ではアセチルコリンとノルアドレナリンが主な興奮性神経伝達物質として用いられている(表1)。同じ神経伝達物質でも、シナプス後膜上の受容体の種類が違えばその作用も異なる。例えばアセチルコリンは、ニコチン受容体に結合するとシナプス後細胞を興奮させるが、ムスカリン受容体はサブタイプによって興奮作用を示すものと抑制作用を示すものがある。
 興奮性の化学シナプスの基本的な構造は、神経伝達物質を内包するシナプス小胞がシナプス前終末に集積し、シナプス間隙を挟んで伝達物質受容体の並ぶシナプス後膜と相対している(図1)。シナプス前終末には神経伝達が放出されるアクティブゾーンがあり、直径30-50 nmのシナプス小胞とともに、伝達物質の開口放出に必要な電位依存性カルシウムチャネルやSNAREタンパク質が集積している[3]。シナプス間隙はシナプス前終末と後細胞間の12-20 nmの隙間であり、開口放出された神経伝達物資はシナプス間隙を拡散してシナプス後膜上の受容体に結合する。
 シナプス後膜の直下にはシナプスの構造タンパク質や調節タンパク質が集積したシナプス後肥厚(postsynaptic density; PSD)と呼ばれる構造がある。興奮性シナプスはシナプス後肥厚が発達し、電子顕微鏡像において顕著に観察される[4]。
 興奮性シナプスの形態は、脳の多くの領域で見られるボタン状シナプスの他、網膜のリボンシナプスや、脳幹や毛様体神経節で見られる杯状シナプスなど多岐にわたる[5]。ボタン状シナプスは、樹状突起に1 μm以下の間隔で密に並んだスパインと呼ばれる微細な突起にシナプスを形成している。多くの場合、単一のボタン状シナプスの入力による脱分極は大きくないが、一つの神経細胞に数千から数万も存在するスパインへのシナプス入力の加算によってシナプス後細胞で活動電位が発生する。アクティブゾーンに特殊な構造を持つリボンシナプス[6]や単一シナプスに複数のアクティブゾーンを持つ杯状シナプス[7]は、一度に多数のシナプス小胞が開口放出され、シナプス後細胞を強く興奮させる。
 シナプス前細胞で発生した活動電位は軸索を伝播し、シナプス前終末に到達する。シナプス前終末では、活動電位による脱分極で電位依存性カルシウムチャネルが開き、カルシウムイオンが細胞内に流入する。カルシウムイオンが引き金となってアクティブゾーンに係留されていたシナプス小胞が細胞膜に融合し、シナプス小胞に内包されていた神経伝達物質がシナプス間隙に開口放出される。
 開口放出された神経伝達物質はシナプス間隙を拡散し、シナプス後細胞膜上の受容体に結合する。イオンチャネル共役型受容体の場合は、神経伝達物質の結合によって即座にイオンチャネルが開き、ナトリウムやカルシウムといった陽イオンが細胞内に流入することでシナプス後細胞が脱分極する。代謝活性型受容体の場合は、受容体への神経伝達物質結合によってGタンパク質を介した細胞内シグナルが働き、受容体とは別に存在するカリウムチャネル等の開口状態が変化することで遅い時間スケールでの脱分極が起こる。
電気生理
興奮性シナプスにおいて神経伝達物質がイオンチャネル共役型受容体に結合すると陽イオンのコンダクタンスが増加する。静止膜電位付近では、これら受容体の反転電位より細胞の膜電位は低いので、細胞外の陽イオンがシナプス後細胞に流入し膜電位は脱分極する。この膜電位変化を興奮性シナプス後電位(excitatory postsynaptic potential; EPSP)という。このとき電流は細胞の内側に向かって流れ、この内向きの電流を興奮性シナプス後電流(excitatory postsynaptic current; EPSC)と呼ぶ。また、細胞膜を横切って電流が流れることで細胞外電場にも変化が生じるので、興奮性シナプス後場電位(field EPSP; fEPSP)として観測することができる。
 代謝活性型受容体では、カリウムコンダクタンスの低下による遅いシナプス後電位と細胞膜の電気抵抗の増加が観察される
シナプス可塑性
 興奮性シナプス、特に脳内のシナプスは、活動依存的に短期可塑性および長期可塑性を示し、動的な神経ネットワークを構築している。
短期可塑性
 代表的なものとして、paired pulse facilitation(PPF)およびpaired pulse depression(PPD)が挙げられる。これはシナプス前細胞を連続して刺激した際に、1回目のシナプス伝達と比較して2回目のシナプス伝達が促通(facilitation)または抑圧(depression)される現象である。短期可塑性のメカニズムには、シナプス前終末へのカルシウム流入と開口放出確率の変化、およびシナプス小胞プールの大きさが関与しているとされている[8]。
長期可塑性
 高頻度刺激で誘発される長期増強(long-term potentiation; LTP)および低頻度刺激で誘発される長期抑圧(long-term depression; LTD)があり、数十分以上の時間わたってシナプス伝達強度が変化する[9]。また、シナプス前細胞-後細胞の発火タイミング依存的にLTPもしくはLTDが生じるスパイクタイミング依存性シナプス可塑性(spike timing dependent plasticity; STDP)と呼ばれる現象が様々なシナプスで報告されている[10]。
 長期可塑性ではタンパク質リン酸化・脱リン酸化や転写・翻訳等の機構により長期的にシナプス伝達が変化するが、開口放出が変化する場合や伝達物質受容体が変化する場合など、可塑性の発現機構はシナプスの種類や刺激パターンによって多様である[11][12]。長期可塑性に伴って樹状突起のスパイン形態が変化が生じることも報告されており[13]、シナプスの機能と形態が共に変化することで神経ネットワークの構築と改変が行われている。



【01-05抑制性シナプス英:inhibitory synapse】出典:脳科学辞典

 抑制性シナプスとは、シナプス伝達によってシナプス後細胞を過分極させ、活動電位の発生を抑制するシナプス結合のことである。抑制性シナプスを形成するシナプス前細胞は、抑制性神経細胞と呼ばれる。抑制性の化学シナプスにおいては、GABAやグリシンなどの神経伝達物質を放出する抑制性神経細胞の軸索終末とシナプス後細胞が抑制性シナプスを構成する。主な抑制性シナプスは、GABA作動性シナプスとグリシン作動性シナプスであり、複数の神経伝達物質を共放出するシナプスも存在する。

基本構造
多くの抑制性シナプスは、形態学的分類におけるGray Ⅱ型シナプス(対称性シナプス)に相当する(図1)。抑制性シナプス前終末およびシナプス後膜を捉えた電子顕微鏡像によると、Gray I型シナプス(対称性シナプス)とは異なり顕著な電子高密度構造は認められない[1]。また、Gray I型シナプスに比べてシナプス間隙(synaptic cleft)が狭く、シナプス小胞が楕円形(扁平)である[2]。Gray II型シナプスは、主に樹状突起シャフト部や細胞体に形成されるが、棘突起(スパイン)を標的とするGABAを含んだシナプス前終末も存在する[3] [4]。
 抑制性シナプスにおいても、シナプス前膜とシナプス後膜を繋ぐ接着分子が存在する。シナプス前膜にはニューレキシン(neurexin:NRXもしくはNRXN)が局在し、シナプス後膜にはニューロリギン(neuroligin:NLもしくはNLGN)が局在することが知られており、これらの接着分子の結合によってシナプスの安定化に寄与していると考えられる[5] [6]。

シナプス前部
GABA作動性シナプス

 GABA作動性ニューロンには、グルタミン酸からGABAを合成するグルタミン酸脱炭酸酵素(glutamic acid decarboxylase: GAD)が存在する。GADには、GAD65とGAD67の二つのアイソフォームがあり、GABA作動性ニューロン特異的に発現している[7]。GAD65は神経終末部に限局している一方、GAD67は細胞体などにも存在し、GABA合成において主要な役割を担っている[8]。また、GAD67はパルブアルブミン陽性の介在ニューロンに強い発現がみられる[9]。合成されたGABAは、液胞型ATPアーゼ(vacuolar-type H+‐ATPase: V-ATPase)によってできるH+濃度勾配および電位勾配に従い、小胞抑制性アミノ酸輸送体(vesicular inhibitory amino acid transporter: VIAAT)注1によって、シナプス小胞に充填される[10] [11]。そして、シナプス間隙に開口放出されたGABAは、ニューロンおよびグリア細胞の細胞膜に存在するGABA輸送体(GABA transporter: GAT)によって回収される[12]。また、Gタンパク質共役型受容体であるGABAB受容体は、K+チャネルを開口させて神経終末を過分極させると共に、Ca2+チャネルを閉口させて伝達物質の放出を抑制する(以下詳述)。

グリシン作動性シナプス
 グリシンはセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ(serine hydroxymethyltransferase: SHMT)によってセリンから可逆的に変換される。GABA同様にグリシンも小胞抑制性アミノ酸輸送体によってシナプス小胞に充填されるが、充填効率はGABAに比べて低い[13] [14]。
 シナプスに放出されたグリシンは、ニューロンとアストロサイトの細胞膜上に発現するグリシン輸送体(glycine transporter: GlyT)によって回収される[15]。グリシン輸送体の働きはNa+(ナトリウムイオン: sodium ion)とCl-(塩化物イオン: chloride ion)に依存しており、2つのアイソフォームが知られている。アストロサイト特異的に発現するGlyT1は、グリシンを細胞内外の両方向へ輸送する。一方、グリシン作動性シナプス前終末において特異的に認められる GlyT2は、細胞内外のNa+濃度勾配によって細胞外から細胞内へ一方向性の輸送を行い、シナプス小胞へのグリシン充填に不可欠である[16] [17]。

シナプス後部
 シナプス前終末から開口放出されたGABAやグリシンなどの神経伝達物質は、シナプス後膜に存在するGABAA受容体およびグリシン受容体に結合する(図2)。いずれも塩化物イオンチャネルに共役したイオンチャネル型受容体であり、活性化に伴って塩化物イオンの透過性(コンダクタンス)注2を上昇させる。これらは各々複数のサブタイプを持っている[18] [19]。
 これらの受容体は細胞内の粗面小胞体(rER)で合成され、ゴルジ体にて分泌小胞に包まれて細胞質へ移行する[20]。そして、GABAA受容体はGABARAP(GABAA receptor-associated protein)、グリシン受容体は足場タンパク質であるゲフィリン(gephyrin)を介して順行性モータータンパク質であるキネシンスーパーファミリータンパク質(kinesin superfamily protein: KIF)に結合し、微小管(microtubule)に沿って輸送される[21] [22]。その後、受容体はエキソサイトーシス(exocytosis)によって細胞膜へ移行して側方拡散(lateral diffusion)し、ゲフィリンを介してシナプスへ集積すると考えられている[23] [24]注3。また、シナプスでは受容体の凝集するサブドメイン(ナノドメイン)を形成していることが示唆されている[25] [26]。しかし、細胞膜上の受容体は側方拡散によってシナプス内外を移動すると共に、クラスリン(clathrin)やダイナミン(dynamin)依存的なエンドサイトーシス(endocytosis)によってエンドソームに取り込まれ、細胞内へ移行する。微小管に沿った逆行性輸送はダイニン(dynein)によって行われ、リソソームでの分解、もしくは再度エキソサイトーシスされて再利用されると考えられる[20]。
 また、シナプス後膜にはGタンパク質共役型受容体であるGABAB受容体も存在している

生理機能
イオンチャネル型受容体を介した抑制機構
GABAA受容体/グリシン受容体を介した抑制

 神経終末から放出されたGABAやグリシンによって、それぞれに対応したイオンチャネル型受容体であるGABAA受容体およびグリシン受容体が活性化し、受容体内部のチャネルが開口する。これによって、塩化物イオンの透過性が上昇すると、負の電荷をもつ塩化物イオンが細胞内に流入し、膜電位の過分極作用をもたらす。通常、哺乳類の成体における細胞外塩化物イオン濃度はおよそ150 mMであるのに対し、細胞内はおよそ10 mM程度である[27] [28]。そのため、通常塩化物イオンの平衡電位は-70~-80 mV付近であり、静止膜電位よりも僅かにマイナス側にある。このように、膜電位が静止電位付近の場合には電位勾配が小さく、GABAA受容体やグリシン受容体の活性化によってチャネルの透過性が上昇しても、細胞内へ塩化物イオンの大量流入は生じない。その上、短絡効果(後述)も相まって、膜電位に与える影響は比較的小さい。しかし、興奮性入力によって膜が脱分極している状況では、塩化物イオンの電位勾配が大きくなり、より多くの塩化物イオンが細胞内へ流入することから、膜電位は静止電位付近へ引き戻される。その結果、興奮性の入力によって生じた脱分極が減弱し、活動電位の発生を抑制する。

発達期および傷害回復期におけるGABA・グリシンに対する応答変化
 GABAA受容体やグリシン受容体のチャネルを流れる塩化物イオンの向きと量は、細胞内外における塩化物イオンの濃度勾配と膜電位に依存している[30]。そのため、細胞内塩化物イオン濃度が高い状態である幼若期のニューロンでは、GABAA受容体(もしくはグリシン受容体)の活性化に伴って塩化物イオンの流出をもたらし、脱分極することも知られている[29](図3)。
 こうした細胞内塩化物イオン濃度は、細胞膜上に発現するNa+-K+-Cl-共輸送体(NKCC) 、K+-Cl-共輸送体(KCC) およびCl-/HCO3-交換輸送体など、多数の塩化物イオン輸送体によって制御されている[31] [32]。NKCCは塩化物イオンを細胞内へ汲み入れ、KCCは塩化物イオンを細胞外へ汲み出す働きを担っており、これらのバランスによって細胞内の塩化物イオン濃度が決定される[33]。発達初期はKCC2に比べてNKCC1の機能発現が高く、細胞内塩化物イオン濃度が高い状態である。一方、成熟したニューロンではNKCC1に比べてKCC2の機能発現が上昇することから、細胞内塩化物イオン濃度が低い状態に保たれている[28] [29](図3)。しかし、成熟したニューロンにおいても、細胞ストレスや神経損傷を受けると、KCC2の機能が低下することから、GABAA受容体の活性化に伴って脱分極することが報告されている[34] [35] [36]。
 つまり、GABAもしくはグリシン作動性入力が標的細胞に対して抑制性もしくは興奮性のいずれの作用をもたらすどうかは、標的細胞内の塩化物イオン濃度に依存している。そのため、GABAやグリシン作動性シナプスであっても、幼若期や傷害回復期においては、必ずしも抑制作用を持つシナプスではない。

短絡効果
 シナプス後細胞の興奮性を抑えるメカニズムとして、短絡効果(シャント効果) も知られている[37]。抑制性入力によってGABAA受容体やグリシン受容体が活性化すると、それらのチャネルのコンダクタンスが大きくなり、膜抵抗が局所的に減少する。すると、オームの法則に従って電流の変化量に対する電位の変化量が低下する。その結果、(仮に塩化物イオンの平衡電位が静止膜電位付近のため、抑制性シナプス入力が過分極をもたらさない場合であっても、)近傍の興奮性シナプスでは興奮性シナプス後電位(EPSP)の振幅が減少し、結果としてシナプス後細胞の興奮性が抑えられる。

GABAB受容体を介した抑制機構
 Gi/o共役型受容体であるGABAB受容体は、興奮性と抑制性を問わず、シナプス前終末、シナプス後膜、シナプス外領域のいずれの細胞膜にも存在しており、抑制性シナプスでは特にシナプス後膜に強い発現がみられる[38]。GABAB受容体はGタンパク質を介してK+チャネルを開口させることで、細胞膜を過分極させる。また、Gタンパク質を介して電位依存性Ca2+チャネルを閉口させる。そのため、神経終末では活動電位が到達しても伝達物質の放出が起こりにくくなり、GABA作動性神経終末においては、自ら放出したGABAによってその後の放出を抑制する自己受容体(autoreceptor)として働く。また、GABAB受容体を介した応答は、GABAA受容体やグリシン受容体などのイオンチャネル型受容体よりも遅く、長い時間スケールでの抑制作用を持つことが知られている[39]。

長期増強と長期抑圧
 長期増強(long-term potentiation:LTP)と長期抑圧(long-term depression:LTD)は、刺激の頻度とタイミングによって、その後のシナプス伝達効率の変化が長時間に渡って持続する現象である。前者は伝達効率が上昇する一方、後者は伝達効率が減少する。このLTPとLTDは興奮性シナプスにおいてよく知られているが、抑制性シナプスにおいても生じることが報告されている(iLTP/iLTD)[41] [42] [43] [44]。いずれの現象についても、前シナプスと後シナプスそれぞれにおける様々な機序によって生じることが報告されている[45]。前シナプスについては、内因性カンナビノイド(eCB)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、一酸化窒素(NO)などの逆行性シグナルや神経前終末のNMDA型グルタミン酸受容体を介して、伝達物質の放出確率を調節するメカニズムが考えられている(図4)。

内因性カンナビノイドを介したiLTD(図4A)
シナプス後膜のグループI代謝型グルタミン酸受容体(mGluR-I)の活性化によって、内因性カンナビノイドである2-アラキドノイルグリセロール(2-AG)が産生、放出される。これにより抑制性シナプス前終末のカンナビノイド受容体I型(CB1R)が活性化すると、プロテインキナーゼA(PKA)活性が低下し、アクティブゾーンタンパク質であるRIM1α(Rab3相互作用分子1α)のリン酸化が減少する。同時に、細胞内カルシウム上昇によってカルシニューリン(CaN)が活性化すると、RIM1αの脱リン酸化が促進され、結果的にRIM1α依存的なGABAの放出が減弱する。

脳由来神経栄養因子を介したiLTP(図4B
細胞内のカルシウムイオン濃度上昇によってシナプス後細胞から脳由来神経栄養因子が放出される。それによりシナプス前終末に発現するTrkB受容体が活性化することで、GABA放出が増加する。また、シナプス後細胞におけるGABAB受容体の活性化は、細胞内カルシウムストアからのカルシウムイオンの放出を誘導する。

一酸化窒素を介したiLTP(図4C)
細胞内のカルシウム濃度上昇によって一酸化窒素合成酵素(NOS)が活性化し、一酸化窒素が産生される。細胞膜を透過したNOは、シナプス前終末のグアニル酸シクラーゼ(GC)に作用して環状グアノシン一リン酸(cGMP)を増加させ、その結果GABA放出を増加させる。一方、NOによるcGMPの上昇は、μオピオイド受容体(μOR)の活性化によって阻害される。

前シナプスのNMDA型受容体を介したiLTDおよびiLTP(図4D)
抑制性神経前終末に発現したNMDA型グルタミン酸受容体の活性化は、細胞内カルシウム濃度を上昇させる。これによって、GABA放出の減弱(iLTD)、あるいはプロテインキナーゼA(PKA)の活性化とアクティブゾーンタンパク質であるRab3相互作用分子1α(RIM1α)のリン酸化を介してGABA放出の増強(iLTP)を誘導する。
 一方、後シナプスについては、GABARAPなど受容体の輸送に関わる分子やGABAA受容体自体のリン酸化‐脱リン酸化によって、シナプスにおける受容体の数や局在、イオン透過性などの構造的・機能的修飾が生じることが報告されている[40]。また、この他にはKCC2やNKCC1などの細胞内塩化物イオン濃度調節機構への作用によって細胞内塩化物イオン濃度が変化し、その結果GABAやグリシンによる応答の振幅が変化することも示唆されている。(46)

シナプス外受容体による持続性抑制
 GABAA受容体およびグリシン受容体は、シナプスに高密度で集積するだけでなく、シナプス外においても低密度で存在し、持続性抑制(tonic inhibition)に関わることが知られている[47]。こうしたシナプス外の受容体は、シナプス間隙から漏出(spillover)したリガンドや細胞外に低濃度で存在するリガンドによって活性化することで、細胞の興奮性を調節すると考えられている。そのため、脱感作しにくい特徴を持っており、δサブユニットを含むGABAA受容体など、受容体のサブユニット構成によって機能的特徴が異なると考えられる[20]。
GABAおよびグリシン作動性シナプスの相違点
 GABA作動性シナプスは中枢神経系全般に広く分布し、大脳新皮質、海馬、視床、小脳などにおいて主要な抑制性伝達を担う[48]。一方、グリシン作動性シナプスは脳幹、脊髄における主要な抑制性伝達を担い、小脳や網膜においても機能している[49] [50]。また、脊髄や脳幹などでは、単一神経終末において、同一のシナプス小胞からGABAとグリシンの共放出が確認されている[51]。加えて、これらのシナプスでは未熟期においてGABA優位であった神経伝達が、発達に従ってグリシン優位に変化(スイッチング)することが知られているが[52] [53]、成熟後もGABAとグリシンの共放出が認められる[54]。
 GABAA受容体およびグリシン受容体は、いずれも塩化物イオンを選択的に透過させる点で共通している。しかし、GABAA受容体を介した抑制性シナプス後電流(inhibitory post synaptic current: IPSC)は、グリシン受容体のそれに比べて減衰時間が長い[51]。また、先述の通り、GABA作動性シナプスではGABAB受容体が自己受容体として働くことも特徴的である。

電気シナプスによる抑制
 上述の化学シナプスとは別に、電気シナプス(electric synapse / electrical synapse)を介した抑制も知られている。電気シナプスの場合、ギャップ結合(gap junction)を介して異なるニューロン同士の細胞質が直接連結しており、細胞間のイオンの移動が容易である。そのため、あるニューロンにおける過分極が、他のニューロンへ瞬時に伝播して過分極させる。
 例えば、マウス小脳皮質に存在する抑制性ニューロンの一種であるゴルジ細胞は、互いにギャップ結合を形成して同期発火している。しかし、苔状線維から興奮性入力を受けると、直接入力を受けた細胞とその周囲の細胞の間で脱同期化が生じることが知られている[55]。これはギャップ結合を介して周囲のゴルジ細胞に後過分極(after-hyperpolarization)が伝播するためであり、ギャップ結合が抑制性の電気シナプスとして機能している例である[56]。

【01-06SNRIセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(-英語: Serotonin & Norepinephrine Reuptake Inhibitors; [)】

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SNRIセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(-英語: Serotonin & Norepinephrine Reuptake Inhibitors; [)は、抗うつ薬の種類である。シナプスにおけるセロトニンとノルアドレナリンの再吸収を阻害することで、これらの神経伝達物質の濃度を増加させる。選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)がセロトニンのみの再吸収を阻害するのに対して、SNRIではさらにノルアドレナリンの再吸収を阻害することによって、興奮神経を刺激する。そのため、興奮に起因した不眠症のような副作用も生じやすい。
セロトニンやノルアドレナリンは「モノアミン系」と呼ばれており、主に「感情」に関わる物質だと考えられています。つまり、これらの物質が減ってしまうと感情に異常を来たしやすくなってしまうという事です。
代表的なモノアミンとしては、セロトニン、ノルアドレナリンの他にドーパミンもあります。
それぞれの役割としては、
1セロトニンは、落ち込みや不安といった感情に関係している
2ノルアドレナリンは、意欲や気力といった感情に関係している
3ドーパミンは、楽しみや快楽といった感情に関係している
と考えられています。
つまりセロトニンが減ると落ち込みや不安が悪化し、ノルアドレナリンが減れば意欲や気力が低下し、ドーパミンが減れば楽しみや快楽を感じにくくなってしまうという事です(実際にはここまで単純ではありませんが、分かりやすく言えばこのようになります)。
うつ病は、その原因の1つにモノアミンが低下が指摘されています。そのためモノアミンを増やす作用を持ったお薬が抗うつ剤として用いられています。
SNRIは神経終末から分泌されたセロトニンやノルアドレナリンが「再取込み(≒吸収されて効果が消えてしまう事)」されないようにします。するとセロトニン・ノルアドレナリンが長く神経と神経の間(神経間隙)に居続けることになり、次の神経へ正しい感情の情報を伝えやすくなります。
これがSNRIの作用機序です。
SSRIという抗うつ剤は主にセロトニンの再取り込みを阻害することでセロトニンの濃度を増やしますが、SNRIはセロトニンだけでなくノルアドレナリンも増やす事が大きな特徴です。そのため、
?落ち込み、不安が強いうつ病の方
だけでなく、
?意欲低下、気力低下が強いうつ病の方
にも優れた効果を発揮することが期待できます。
またノルアドレナリンは感情だけでなく「痛み」にも関係していると考えられています(「うつ病で痛みが出る!?」参照)。
私たちの身体には痛みを抑えるはたらきを持つ神経があり、これは「下行性疼痛抑制系神経」と呼ばれています。この下行性疼痛抑制系神経は主にノルアドレナリンを分泌することによって痛みを抑えています。
つまりノルアドレナリンが減るとうつ病になりやすくなるだけでなく、痛みにも敏感になってしまうという事で、SNRIはノルアドレナリンを増やす事で痛みを抑える作用も期待できるという事です。



【02-01べゲタミン-B配合錠】】 :(Vegetamin)とは、抗精神病薬の成分クロルプロマジンと、バルビツール酸系のフェノバルビタール、抗ヒスタミン作用のあるプロメタジンを含む合剤である[1]。塩野義製薬から1957年から2016年12月31日まで販売された。ベゲタミンは同社の登録商標(第5234290号)である。処方箋医薬品であり、世界でも日本でのみ流通していた[1]。劇薬、習慣性医薬品、麻薬及び向精神薬取締法における第三種向精神薬の指定があった。
ベゲタミンの薬効分類名は精神神経用剤で、適応は各種の精神障害の鎮静催眠に用いられる。フェノバルビタールは、過量投薬のリスクが高く、治療薬物モニタリングが必要である[2]。バルビツール酸系は薬物の離脱時の痙攣大発作に注意が必要である[3]。
2005年から2010年までの5年間でも、不審死からのベゲタミンの成分3種の検出が増加しており[4]、オーバードース時に致死性の高い薬の2位の薬だと同定されていた[5]。ベゲタミンは外来患者には用いるべきではない[6]、極力処方を回避すべき[7]、いかなる場合にも処方すべきではない医薬品[8]、飲む拘束衣[1]と言われていた。
 主成分:クロルプロマジン塩酸塩(Chlorpromazine hydrochloride
 プロメタジン塩酸塩(Promethazine hydrochloride)
 フェノバルビタール(Phenobarbital)
 
 この薬の作用と効果について
 中枢神経系に作用する3つの有効成分を配合しています。精神状態を安定させて不安感、緊張感、イライラ感などの症状を鎮めたり、睡眠を促します。通常、統合失調症、老年精神病、躁病、うつ病またはうつ状態、神経症における鎮静催眠に用いられる。

図1.Gray II型シナプス(対称性シナプス)矢印はシナプス前終末側から抑制性シナプスを示している





図2.抑制性シナプスを構成する分子GABAγアミノ酪酸GAD67グルタミン酸脱炭酸酵素67GAD65グルタミン酸脱炭酸酵素65VIAATVGAT):小胞抑制性アミノ酸輸送体小胞GABA輸送体)、SHMTセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ)






図3.発達に伴う細胞内塩化物イオン濃度とGABA応答の変化発達に伴ってNa+-K+-Cl-共輸送体1(NKCC1) による塩化物イオン(Cl-)の細胞内汲み入れが減少する一方、K+-Cl-共輸送体2(KCC2) による細胞外への汲み出しが増加する。そのため、GABAA受容体の活性化は、未成熟な神経細胞において細胞外へ塩化物イオンの流出をもたらし、脱分極応答となる。一方、成熟した神経細胞では細胞内への塩化物イオンの流入を引き起こし、過分極応答となる。([29]を改変)






図4.GABAの放出確率調節による抑制性LTP(iLTP)とLTD(iLTD)モデル(A)内因性カンナビノイドeCB)を介したiLTD, (B)脳由来神経栄養因子BDNF)を介したiLTP, (C)一酸化窒素NO)を介したiLTP, (D)前シナプスのNMDA型グルタミン酸受容体を介したiLTDおよびiLTP
mGluR-I:グループ1代謝型グルタミン酸受容体PLCホスホリパーゼCDAGジアシルグリセロールDGLジアシルグリセロールリパーゼ2-AG2-アラキドノイルグリセロールCB1Rカンナビノイド受容体I型VGCC電位依存性カルシウムチャネルPKAプロテインキナーゼACaNカルシニューリンRIM1αRab3相互作用分子1αTrkB受容体脳由来神経栄養因子受容体NOS一酸化窒素合成酵素GCグアニル酸シクラーゼcGMP環状グアノシン一リン酸[40]を改変)



【02-02セロクエル】 :Quetiapine)は、ジベンゾチアゼピン系の非定型抗精神病薬の一つである。国内外で商品名セロクエルで販売され、日本での適応は統合失調症である。主にその症状である幻覚や妄想を抑える。またアメリカでは双極性障害にも適応があり気分安定薬として用いられる。薬事法における劇薬。

成分(一般名)
クエチアピン フマル酸塩
心の不具合を調整し、気持ちをおだやかにするお薬です
働き
気持ちの高ぶりや不安感をしずめるほか、停滞した心身の活動を改善する作用があります。そのような作用から、統合失調症にかぎらず、強い不安感や緊張感、抑うつ、そう状態などいろいろな精神症状に応用することがあります。
②主な作用は、ドーパミンとセロトニンという2つの神経伝達物質をおさえることです。2つをおさえることで、統合失調症の陽性症状(幻覚、妄想、興奮)と陰性症状(無感情、意欲低下、自閉)の両方によい効果を発揮します。
③双極性障害いわゆる躁うつ病は、妙にはしゃいだり、怒りっぽくなったり、さらには判断力が低下し行動がエスカレートしてきます。逆に、うつ状態に入ると、気分が落ち込み、悲観的になり、ときに命を否定するほどの強い思いにかられます。このお薬のもう一つの効能は、そのような双極性障害におけるうつ症状に対してです。うつ病相におけるうつ症状を改善し、不安をしずめ気分を落ち着けます。
薬理
 脳内のドパミン2(D2)受容体を遮断することで、ドーパミン神経系の機能亢進により起こる陽性症状をおさえます。また、セロトニン2(5-HT2)受容体を遮断することで、ドーパミン神経系の働きがよくなり、陰性症状が改善します。このような作用メカニズムからから、セロトニン・ドーパミン拮抗薬(SDA:Serotonin-Dopamine Antagonist)とか5-HT2/D2拮抗薬などと呼ばれています。そのほかにも、アドレナリンやヒスタミンなどいろいろな受容体に作用することから、多受容体作動薬(MARTA:Multiacting Receptor Targeted Antipsychotic)に分類されることもあります。
副作用
 従来の定型抗精神病薬に比べ、錐体外路系の副作用(下記)はかなり少ないのですが、やはり、手のふるえ、こわばり、じっとできないといったパーキンソン病のような症状がでる可能性があります。長期服用時は「遅発性ジスキネジア」にも注意が必要です。
成分一般名:デュロキセチン塩酸塩
区分
神経系用剤(含む別用途)/非定型抗精神病薬(MARTA)/抗精神病剤
薬効分類名:セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤
 セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬SNRI(英語: Serotonin & Norepinephrine Reuptake Inhibitors; [1])は、抗うつ薬の種類である。シナプスにおけるセロトニンとノルアドレナリンの再吸収を阻害することで、これらの神経伝達物質の濃度を増加させる。選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)がセロトニンのみの再吸収を阻害するのに対して、SNRIではさらにノルアドレナリンの再吸収を阻害することによって、興奮神経を刺激する。そのため、興奮に起因した不眠症のような副作用も生じやすい。
 抗うつ薬にはセロトニンに関わる薬があり、TCASSRISNRIMAO阻害剤が主に当てはまる。セロトニンの再取り込みを阻害することによってシナプス間のセロトニンの量が増えるとされる。
成分(一般名)
デュロキセチン塩酸塩
 憂うつな気分をやわらげ、意欲を高めるお薬です。うつ病やうつ状態の治療に用います。また、別の効能として、ある種の痛みにも有効です。
働き
①第一の効能は‘うつ’の治療です。気分が晴れずに落ち込んだり、悲観的になったり、やる気がでない、集中できない、眠れない・・そんなこじれた心の症状を改善し、気持ちが前向きになるのを助けます。また、不安や緊張した気分をほぐして、気持ちを楽にします。うつ病のほか、いろいろな心の不具合に応用されることがあります。
②ある種の痛みにも有効です。なかでも よい適応となるのが糖尿病の合併症で一番多い糖尿病性神経障害です。高血糖により神経細胞の働きがおかしくなり、手足がしびれたり、しつこい痛みが続きます。このお薬は、そのような糖尿病性神経障害にともなう疼痛をやわらげます。さらに適応症が拡大し、神経の障害がかかわる慢性腰痛症、変形性関節症や線維筋痛症の痛みにも使えるようになりました。
薬理
①抗うつ作用として、脳内の2つの神経伝達物セロトニンとノルアドレナリンの再取り込みを阻害します。これにより、脳内シナプス間隙におけるそれらの濃度が高まり、神経の伝達がよくなるのです。セロトニンの増加は不安をやわらげ「気分」を楽にし、ノルアドレナリンの増加は「意欲」を高めるといわれます。セロトニントランスポーターとノルアドレナリントランスポーターだけに結合し、その他の受容体にはほとんど作用しないので、旧来の抗うつ薬にみられる不快な副作用が少ないです。このような作用機序から、「セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(Serotonin-NorAdrenalin Reuptake Inhibitors)」と呼ばれ、SNRIと略称されることが多いです。
②鎮痛作用も持ち合わせています。痛みを抑える神経「下行性疼痛抑制神経」には、ノルアドレナリン作動性神経とセロトニン作動性神経の2系統があります。このお薬は、その2つの神経機能を高めることで、一次求心性神経から二次求心性神経への痛みの伝達を抑制します。
副作用
鎮痛作用も持ち合わせています。痛みを抑える神経「下行性疼痛抑制神経」には、ノルアドレナリン作動性神経とセロトニン作動性神経の2系統があります。このお薬は、その2つの神経機能を高めることで、一次求心性神経から二次求心性神経への痛みの伝達を抑制します。
もし、普通でない不安感や焦燥感、イライラ落ち着かない、気持ちの高ぶり、悪い衝動にかられるなど、精神的な変調が気になるときは、医師と連絡をとり指示をあおいでください。このような気分障害は、とくに飲み始めや薬の量を増やしたときに現れやすいものです。
【03-02デュロキセチン塩酸塩の効く仕組み】
ここでは、「うつ病・うつ状態」と「痛み」の2つに分けて、デュロキセチン塩酸塩の効く仕組みを説明します。
1. うつ病・うつ状態
 私たちの思考や行動には多数の神経が関わっています。神経が次の神経に様々な神経伝達物質を渡すことで、思考や行動に関する情報(シグナル)が伝えられていきます。神経の端には、神経伝達物質を出す穴と受け取る口(受容体(レセプター))があり、そこでキャッチボールのようなやり取りが行われます。神経伝達物質のうち、不安や無気力の発生に関わっているのが脳内の「セロトニン」と「ノルアドレナリン」です。セロトニンの増加は不安を和らげ気分を楽にし、ノルアドレナリンの増加は意欲を高めます。うつ病・うつ状態は、このセロトニンとノルアドレナリンの受け渡しが不足することにより情報伝達がうまく行えず、不安や無気力になる状態と考えられています。これらの症状は、セロトニンとノルアドレナリンを薬で補うことにより改善することができます。
1.うつ病・うつ状態
神経から放出されたセロトニンとノルアドレナリンはすべてが次の神経に渡されるわけではなく、神経伝達物質を渡す神経と受け取る神経の間に漂い、再び元の神経(神経伝達物質を渡す神経)に戻ることがあります。デュロキセチン塩酸塩は、セロトニンとノルアドレナリンが次の神経に渡されず再び元の神経に戻るのを抑える働きがあります。この働きを「再取り込み阻害」と呼びますデュロキセチン塩酸塩は、セロトニンとノルアドレナリンを再取り込みする部位だけをターゲットにして結合し、再取り込みを阻害することで、神経伝達物質を渡す神経と受け取る神経の間のセロトニンとノルアドレナリンの濃度を高めます。これにより、セロトニンとノルアドレナリンが次の神経に取り込まれる量が増加するので、うつ病・うつ状態を改善することができます

2. 痛み
「痛み」は、侵害性(けがなど)、神経障害性、心因性に分類されますが、痛みが発生すると、痛みの情報(シグナル)が神経を通じて脊髄から脳へと伝えられ、痛みの部位やその強さを認識します。つまり、痛みは脳で感じるのです
 痛みを伝える神経がある一方で、脊髄から脳への痛みの伝達を抑制する「下行性疼痛抑制系神経」と呼ばれる痛みを抑える神経があります。この下行性疼痛抑制系神経の働きは、セロトニンとノルアドレナリンによって活性化されることがわかっていますそして、慢性的な痛みの原因のひとつとして、セロトニンとノルアドレナリンの機能低下やバランス異常が考えられています。つまり、セロトニンとノルアドレナリンで下行性疼痛抑制系神経を活性化することができれば、痛みを感じにくくなり鎮痛効果を得ることができます。



2.痛み
下行性疼痛抑制系神経を介して痛みを抑える仕組みに関わるセロトニンとノルアドレナリンの再取り込みをデュロキセチン塩酸塩が阻害することにより、下行性疼痛抑制系神経の働きを高め、痛みの伝達を抑制し、痛みを改善します。
2.痛み
このように、「うつ病・うつ状態」と「痛み」にはセロトニンとノルアドレナリンという同じ神経伝達物質が関わっていますが、関わる神経によって異なる働きをしています。デュロキセチン塩酸塩は、役割の異なるそれぞれの神経で効果を発揮することができるため、複数の疾患に対して効果を示すことができます
【04-02デパゲン】【【デパゲンR錠200㎎】】:
バルプロ酸ナトリウム(Sodium valproate、VPA)は、抗てんかん薬の1つである有機化合物(合成された分岐短鎖脂肪酸であるバルプロ酸のナトリウム塩)。日本では販売名デパケン(およびデパケンR)、セレニカで知られ、多くの後発医薬品も販売されている。適応は、てんかん、躁状態の治療、片頭痛発作の発症抑制である。双極性障害(かつての躁うつ病)の気分安定薬(主に躁エピソードの症状の抑制)としても知られる。
7. 薬剤名等
ベンゾジアゼピン系薬剤(ジアゼパム等)、ワルファリンカリウム
薬効分類名:抗てんかん剤、躁病・躁状態治療剤、片頭痛治療剤
働き-1:てんかんは、脳の神経の電気信号が過剰に発射され、意識障害やけいれん発作を繰り返す病気です。診断のために脳波検査をおこなうと、異常な電気的活動によるてんかん性異常波がみつかります。このお薬は、抗てんかん薬です。脳神経の興奮をおさえて、てんかん発作を予防します。また、怒りやすい、不機嫌といった てんかんにともなう性格行動障害を改善します。子供に多い欠神発作(意識消失発作)いわゆる小発作をふくめ、部分発作、全般発作を問わず さまざまな発作型に広く使用されています。作用のしかたは、脳神経の興奮をしずめるガンマアミノ酪酸(GABA)の脳内濃度を高めるなどして、抗けいれん作用を発揮します。
働き-2:躁状態がひどくなると、落ち着きがなくなり、妙にはしゃいだり、怒りっぽくなったり、行動がエスカレートしてきます。ときに、家庭や社会で大きな問題を起こしてしまう病気です。このお薬は、そのような躁病や躁うつ病の躁状態の治療に用います。脳の神経をしずめて、気分の高ぶりをおさえ落ち着かせます。
働き-3:片頭痛は慢性頭痛のひとつです。ズキンズキンと脈打つような強い頭痛が発作的に起こり、吐き気や嘔吐を伴うことも多いです。このお薬の第3の効能は、片頭痛の予防です。脳の神経をしずめる作用により、脳血管の異常な運動(収縮・拡張)がおさえられ、片頭痛が起こりにくくなります。処方対象は、発作頻度が多く日常生活に支障となる場合、トリプタン系など頓用薬の効果が不十分な場合などです。予防的に定期服用することで、発作回数の減少、前駆症状の軽減、また発作治療薬の減量がはかれます。
薬理:ガンマアミノ酪酸(GABA)は、脳神経の興奮をおさえる抑制性神経伝達物質です。このお薬は、そのガンマアミノ酪酸の脳内濃度を高めます。さらに、ドパミン濃度を上昇、セロトニン代謝を促進し、脳内の抑制系を活性化させることで、脳神経の興奮をしずめます。
【04-02デパス】:エチゾラム(英語: Etizolam)は、チエノトリアゾロジアゼピン系(英語版)に属する抗不安薬[1]、睡眠導入剤であり、ベンゾジアゼピン系と同様の作用を持つ。チエノジアゼピン系とするものもある[2]。日本で開発され、日本、イタリア、インドで医薬品である[1]。日本の先発品はデパス。多くの後発医薬品が存在する。 連用により依存症、急激な量の減少により離脱症状を生じることがある[3]。使用されている国が少ないため国際条約である向精神薬に関する条約による規制はない[4][1]。日本では、麻薬及び向精神薬取締法の第三種向精神薬に指定されている。他のベンゾジアゼピン系の薬剤を含めても、日本の乱用症例において3位がエチゾラムである[5]。エチゾラムを10倍量誤投与し、植物状態となった事例は、日本薬剤師会[6]、日本病院薬剤師会[7]、厚生労働省による事故防止の検討会[8]でもとりあげられており、事故防止に重要である。



ニトラゼパム】

ベンザリン錠10ベンザリン錠2~5~10、ベンザリン細粒1%、ネルボン錠5mg~10mg、ネルボン散1%
催眠鎮静剤,抗不安剤/ベンゾジアゼピン系/睡眠誘導剤
レボメプロマジン マレイン酸塩
レボトミン5mg

レボトミン錠5mg~25mg~50mg、レボトミン散10%~50%、レボトミン顆粒10%、ヒルナミン錠(5mg)~(25mg)~(50mg)、ヒルナミン散50%、ヒルナミン細粒10%
神経系用剤(含む別用途)/フェノチアジン系/精神神経安定剤
クロキサゾラム】セパゾン錠22mg

セパゾン錠1~2、セパゾン散1% ・
催眠鎮静剤,抗不安剤/ベンゾジアゼピン系/マイナートランキライザー
 【アリピプラゾール】アリプラゾール錠3mg
エビリファイ錠1mg~3mg~6mg~12mg、エビリファイOD錠3mg~6mg~12mg~24mg、エビリファイ散1%、エビリファイ内用液0.1%(1~3~6~12mL)


神経系用剤(含む別用途)/非定型抗精神病薬(DSS)/抗精神病薬
オランザピン】オラザピン錠10mg


ジプレキサ錠2.5mg~5mg~10mg、ジプレキサ細粒1%、ジプレキサザイディス錠2.5mg~5mg~10mg ・
神経系用剤(含む別用途)/非定型抗精神病薬(MARTA)/抗精神病薬・双極性障害治療薬 

【フルニトラゼパム】サイレース錠2mg
ロヒプノール錠1~2、サイレース錠1mg~2mg
催眠鎮静剤,抗不安剤/ベンゾジアゼピン系/睡眠導入剤
【クロルプロマジン塩酸塩】
コントミン糖衣錠12.5mg就薬
コントミン糖衣錠12.5mg~25mg~50mg~100mg
クロルプロマジン製剤/精神神経用剤
チアプリド塩酸塩

グラマリール錠25mg~50mg、グラマリール細粒10%
他の中枢神経系用薬/その他/ベンザミド系精神神経用剤
【デュロキセチン塩酸塩】
サイバルタカプセル20mg
サインバルタカプセル20mg~30mg
抗うつ剤(SNRI)/セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤
【クエチアピン フマル酸塩】
セロクエル100mgセロクエル25mg
セロクエル25mg錠~100mg錠、セロクエル細粒50%、ビプレッソ徐放錠50mg
非定型抗精神病薬(MARTA)/抗精神病剤
【ブロチゾラム】0.25mg
レンドルミン錠0.25mg、レンドルミンD錠0.25mg
催眠鎮静剤,抗不安剤/チエノジアゼピン系/睡眠導入剤
【クロナゼパム】
ランドセン0.5mg
リボトリール錠0.5mg~1mg~2mg、リボトリール細粒0.1%~0.5%、ランドセン錠0.5mg~1mg~2mg、ランドセン細粒0.1%~0.5%
抗てんかん剤/ベンゾジアゼピン系/抗てんかん剤
【ガランタミン臭化水素酸塩】
レミニールOD錠8mg
レミニール錠4mg~8mg~12mg、レミニールOD錠4mg~8mg~12mg、レミニール内用液4mg/mL
他の中枢神経系用薬/アセチルコリンエステラーゼ阻害薬/アルツハイマー型認知症治療剤
【メマンチン塩酸塩】
メマリー錠5mg
メマリー錠5mg~10mg~20mg、メマリーOD錠5mg~10mg~20mg、メマリードライシロップ2%
他の中枢神経系用薬/NMDA受容体拮抗薬/NMDA受容体拮抗 アルツハイマー型認知症治療剤

成分(一般名) : 【ガランタミン臭化水素酸塩】レミニール錠OD錠8mg  区分 : 他の中枢神経系用薬/アセチルコリンエステラーゼ阻害薬/アルツハイマー型認知症治療剤 朝夕
成分(一般名) 【メマンチン塩酸塩メマリー錠20mg】: 区分 : 他の中枢神経系用薬/NMDA受容体拮抗薬/NMDA受容体拮抗 アルツハイマー型認知症治療剤  夕 

【】
【】
【コントミン糖衣錠25mg】
【グラマリール錠25mg】 

【ベンザリン錠10】
【レボトミン5mg】
【セパゾン錠22mg】
【アリプラゾール錠3mg】抗精神病薬
【オラザピン錠10mg】抗精神病薬
【サイレース錠2mg】
【コントミン糖衣錠25mg】抗精神病薬
【グラマリール錠25mg】 


【【サインバルタカプセル20mg】】
【セロクエル100㎎】就薬
【【ブロチゾラム0.25mg】
睡眠導入剤
【【デパゲンR錠200㎎】

【【】】
レミニール錠OD錠8mg 成分(一般名) : ガランタミン臭化水素酸塩 区分 : 他の中枢神経系用薬/アセチルコリンエステラーゼ阻害薬/アルツハイマー型認知症治療剤 朝夕


メマリー錠20mg成分(一般名) : メマンチン塩酸塩区分 : 他の中枢神経系用薬/NMDA受容体拮抗薬/NMDA受容体拮抗 アルツハイマー型認知症治療剤   

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