028.バイスティックの7原則

【バイスティックの7原則】出典:www.ee-life.net
「バイスティックの7原則」
ここでは対象者をクライエント、援助者をワーカーと記載しています。 
1. 個別化の原則
クライエントの抱える困難や問題は、どれだけ似たようなものであっても、人それぞれの問題であり「同じ問題は存在しない」とする考え方。この原則において、クライエントのラベリング(人格や環境の決めつけ)やカテゴライズ(同様の問題をまとめて分類してしまい、同様の解決手法を執ろうとする事)は厳禁となる。
※自己点検:外面的に同じような状況に見えても、人それぞれ育ってきた環境が違い、価値観も違う。今目の前にいる人は世界に一人しかいないということを肝に銘じておかなければならない。援助がパターン化していないか。偏見や先入観にとらわれていないか。自分のペースで話を進めていないか。「忙しそうですね」と言われていないか。
2. 意図的な感情表現の原則
クライエントの感情表現の自由を認める考え方。特に抑圧されやすい否定的な感情や独善的な感情などを表出させることでクライエント自身の心の 枷かせを取り払い、逆にクライエント自身が自らを取り巻く外的・内心的状況を俯瞰しやすくする事が目的。またワーカーもクライエントに対しそれが出来るように、自らの感情表現を工夫する必要がある。
※自己点検話しやすい雰囲気を意識しているか。座る位置はそこで良いのか。開かれた質問と閉じられた質問を意識しているか。リラックスできているか。同じ流れの中に入れているか。
3. 統制された情緒関与の原則
ワーカー自身がクライエント自身の感情に呑み込まれないようにする考え方。クライエントを正確にかつ問題無くケース解決に導くため「ワーカー自身がクライエントの心を理解し、自らの感情を統制して接していく事」を要求する考え方。
※自己点検自分の感情を自覚できているか。今抱いている感情は誰の感情なのか。共感の及ぼす過度な感情移入をしていないか。目的を意識しながら反応できているか。時期は適切か。急ぎすぎていないか。安易な情緒的関与をしていないか。平常心は保てているか。
4. 受容の原則
クライエントの考えは、そのクライエントの人生経験や必死の思考から来るものであり、クライエント自身の『個性』であるため「決して頭から否定せず、どうしてそういう考え方になるかを理解する」という考え方。この原則によってワーカーによるクライエントへの直接的命令や行動感情の否定が禁じられる。
加筆(出典:Wikipedia):ただし、この受容の原則を理解する際には注意が必要である。バイステックは、人を受け入れることと道徳や社会のルールに反する行為を受け入れることは違うとし、あくまで「ケースワーカーが受けとめる対象は現実である」と述べている[1
※ 自己点検:クライエントの人となりを吟味しているか。今起きている現実をありのまま受け止められているか。ギアはニュートラルに入っているか。ハンドルにあそびはあるか。
5. 非審判的態度の原則
クライエントの行動や思考に対して「ワーカーは善悪を判じない」とする考え方。あくまでもワーカーは補佐であり、現実にはクライエント自身が自らのケースを解決せねばならないため、その善悪の判断もクライエント自身が行うのが理想とされる。また人間は基本的に当初において自らを否定するものは信用しないため受容の観点からも、これが要求される。
※自己点検:違う角度からもみるようにしているか。多面的に捉えているか。色目めがねをかけていないか。木も森もみあくまでも自らの行動を決定するのはクライエント自身である」とする考え方。
6. 自己決定の原則
「あくまでも自らの行動を決定するのはクライエント自身である」とする考え方。問題に対する解決の主体はクライエントであり、この事によってクライエントの成長と今後起こりうる同様のケースにおけるクライエント一人での解決を目指す。この原則によって、ワーカーによるクライエントへの命令的指示が否定される。
※自己点検:今目の前にいる人が本来持っている生きる力や強さはどのくらいあるのか。本人の意思をしっかり確認しているか。実際発した言葉は本心なのか。緊急性はあるのか。周りの人の援助は期待できるか。援助が行き過ぎていないか。働きかけによって解決できる力が発揮できる可能性があるか。 

7. 秘密保持の原則
クライエントの個人的情報・プライバシーは絶対に他方にもらしてはならないとする考え方。いわゆる「個人情報保護」の原則。他方に漏れた情報が使われ方によってクライエントに害を成す可能性があるため。
※自己点検:秘密保持を意識しているか。個人情報の使用にあたってクライエントに不安をあたえていないか。個人情報の管理はしっかりできているか。 
以上が「バイスティックの7原則」の説明です。
7つの原則に分かれていますが、それぞれが深く繋がり関係しています。
 自己点検として自分の中の感覚的な部分も書かせていただきました。
あくまでも援助者の行動規範としての基本となります。日頃このような事に注意しながら仕事に取り組んでいることをご理解ください。又、不十分な点、未熟な点がある事をご容赦ください。
F.Pバイスティック著 尾崎 新・福田俊子・原田和幸訳「ケースワークの原則」誠信書房 参照
ウィキペディア「ケースワーク」の項参照
えているか。常識という枠にとらわれていないか。
以下、私見
①メッセージはシンプルに伝える。
 クライアントを論破しない。→反論して正当性を振りかざし説諭を行わない。繰り返し繰り返し、伝えたいメッセージだけを伝える。
②年齢の上下、性差、民族、人種は常に念頭に入れ支援する。
③助言、説得する場合、クライアントのモチベーションを高める方向で行う。クライアント一人で解決できない問題を発言しない。
④メッセージは一つひとつ伝える。一つが伝わって、それが行われた後、次のメッセージを伝える。ただし、常にクライアントの心の体力に配慮を行う。ワーカーが、その状況を判断し、無理と判断すれば中止する。
4. 受容の原則(加筆)について、例えば、クライアントのヘイトスピーチ、誰かを殺してやりたいといった発言は受容する態度を示すべきではない。だからと言って、「貴方が言っている事は、人として間違っている」等、非難を行わない。相対的な立場では、ワーカーは強者、クライアントは弱者である。正当性を主張すればするほど、それは強要であり、対等な立場でのコミュニケーションではない。差別は、自分が差別される事ないし抑圧されている事に対する裏返し。他者への殺意は、同時に希死念慮の裏返し。

⑥障害の理解
ICIDHの考え方には問題点が多く挙げられ、その中の一つとして「障害が直接的に社会的不利につながるという認識がなされてしまう」という問題点がありました。
本当であれば障害のある人が「買い物の困難さ」に直面する原因には、その人の抱える障害だけではなく、お店にエレベーターがないことや、途中で手を貸してくれる人がいないことなど、いろいろな要因が存在します。ところがICIDHでは、障害があることが「買い物の困難さ」という社会的不利を生み出す唯一の原因としてとらえられてしまう危険性があったのです。
そこで考え出されたのがICF(生活機能分類)です。その人の生活機能を、障害だけではなく環境を含めた広い視点からポジティブな視点も含めてとらえることを目指して作られました。
これまでは人間の障害や生活機能を考える際に、「医学モデル」と「社会モデル」という考え方が主流でした。
「医学モデル」では、病気やけがなどが直接障害を引き起こすものとして理解されるため、障害への対応には医療が必要不可欠なものとされています。一方で「社会モデル」では、障害が周囲の環境によって作り上げられるものとされているため、社会の環境を変えることが障害をなくすことにつながるとの考え方がされています。
ICFの考え方は、これまでの「医学モデル」と「社会モデル」を統合するものということができます。つまり、障害を個人と周囲の環境双方からとらえ、人間の状況を全体的に理解することを目指しているのがこのICFなのです。

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